宝山 屋根のない藏

一月から八月は、農業。九月から十二月は、醸造。

  • 西酒造にとって、酒を造るスタートラインは薩摩の大地の上に引かれています。なぜならば、酒の旨さの根本は、大地に育つ農作物にあるからです。

  • それを丹念に引き出すための技を磨くのも酒造りですが、芋や米を育むこと、豊かな土を作ることも、人まかせにできない酒造りの大切な工程であると私たちは考えています。そこで私たちは、屋根のない、もうひとつの蔵と呼ぶべき自社試験農場を設けています。

  • 一月から八月、蔵人は強い陽射しの中、雨風の中、さまざまな芋や米を育てながら、新しい味わいを生む可能性を土づくり、栽培方法から探り続けています。それは一年や二年で答えが出るものではありません。十年、二十年後の旨さのために小さな苗を育て続ける長い旅です。

  • そして九月から十二月、蔵人はポコポコと声をあげ発酵を進めてくれる小さな命と対話しながら大地から預かった作物を大切に醸し、お客さまを笑顔にする旨さを引き出していきます。

  • そんな効率を求める世界からは遠く離れた一日一日を過ごす私たちを支えているのは、農業への感謝、酒造り先人への感謝、何よりも味わっていただく方への感謝です。

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